【アラビア語】アラビア語由来の日本語8選【身近にあるアラビア語の言葉】

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この記事でわかる事

日常使われている日本語の単語の中で、実はアラビア語が由来の単語がその詳細付きでわかります。

みなさんこんにちは。

突然ですが、アラビア世界と言われると皆様はどのようなものを連想しますか?

蛇のような字で、まるで字とは思えないアラビア文字。

国にもよりますが、かなり厳格な宗教観。

中東で何かあったら、石油の価格が上がる。

ざっと、こんなイメージだと思います。

しかし、実は私たちの周りにあるものには、そんなアラブ世界由来の名称を持つものがたくさんあるのです。

ここでは、そんなアラブ世界由来の名称のものを、元となったアラビア語とともにご紹介します。

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アルコール・・・الكحل

الكحل(al-kuḥl)

人類にとって、切っては切り離せない存在であるアルコール

当然アルコール自体は、有史以前から人類に発見され利用されていますが、その名称の由来はアラビア語由来であることを皆様はご存じでしょうか?

由来については多くの説がありますが、有力な説としてもともとアルコールの元となった” الكحل(アルクフル)”という言葉は、殺虫剤や化粧品に使われたアンチモン硫化物 Sb2S3 の細やかな粉の事を指していました。

アンチモン硫化物 Sb2S3の粉末

そしてそこから”الكحل(アルクフル)”の意味は”サラサラしている”という意味に転化します。

その後、エタノール(アルコール)が水に比べてさらさらしている為、エタノールの事を ”الكحل(アルクフル)” というようになったという訳です。

中世においては、西洋よりも中東の方が科学技術が進んでいました。

その中東で発達した錬金術による科学知識が、ルネサンス以降の西洋に輸入されたため、アルコールのように自然科学の分野において、アラビア語由来の言葉が多く残っています。

アルゴリズム・・・الخوارزمية

الخوارزمية(al-khawarizmia)

”ある問題を解決するための手段や方法”を意味する”アルゴリズム”。

近年ではコンピューターが問題解決する方法としてもこの単語が使われています。

っこの単語の語源は9世紀のアラビアの科学者、フワーリズミーالخوارزمي)から名付けられたアラビア語であるالخوارزميةアル・クワーリズミア)からきています。

 ソビエト連邦記念切手に描かれたフワーリズミー

このフワーリズミーというのはいわゆる通称であり、彼が中央アジアのホラズム(アラビア語でフワーリズム)出身であった事から、”フワーリズム出身の人=フワーリズミー”となりました。

フワーリズミーは数学の分野で特に業績を残した人物であり、数学の問題の解決の手法を解説した本を多く出版した事から、後に彼に敬意をこめて”アルゴリズム”という単語が作られたと言います。

また同様に、彼の著作の名称から、英語で”代数”を意味する”algebra(アルジェブラ)”という英単語も作られました。

アルカリ・・・القلي

 القلي(al-qily)

酸性とアルカリ性の”アルカリ”はアラビア語由来です。

القلي(アル・キリー)” とは本来、植物を燃やした際に出る灰の事を指していました。

後にこれらを水に溶かした際の水溶液の性質にも”القلي(アル・キリー)”が使われるようになり、後にアルカリ性としての性質が知られるようになります。

その後、アルカリ性の概念は中東から西欧に輸入され、オランダ語で”alkali“という単語により表されるようになり、それが蘭学として江戸時代の日本に輸入されたことから、アルカリ性という日本語が生まれたのです。

アルデバラン・・・الدبران

الدبران(ad-dabarān)

おうし座の一等星であるアルデバランの名称も、アラビア語由来です。

الدبران ”の本来の意味は”後に続くもの”です。

東の空からアルデバランが登ってくるとき、その前にはプレアデス星団(日本語名すばる)が先にのぼってくることから、”プレアデス星団の後に続くもの”としてこの名前がつけられました。

すばる(プレアデス星団)の後を追うアルデバラン

 画像引用 https://members.subaru.jp/with/hoshizora/howto/howto004.php

ちなみにアルデバランの名前が知られる前に、日本ではこの星の事を”後星”や”すばるの後星”等と呼んでいました。

日本人の発想も、アラブ人の発想と同じだった訳ですね。

ソファ・・・صفة

صفة(suffah

洋室にはなくてはならないもの、ソファの名称もアラビア語由来です。

صفة(サッファ)” はアラビア語でもソファを表す名詞であるとともに、様々な意味を持つ単語でもあります。

いわゆる木や石などで出来た単なる腰かけに布などをかけて快適にする過程において、このソファという名称と概念が醸成されたものと思われます。

シロップ・・・شراب

شراب  (sharāb)

甘いもの好きの人には堪らない甘い液体”シロップ”。

このシロップの名称の由来はアラビア語で”飲み物”を表す単語である ”شراب” (シャラーブ)です。

中世時代においてヨーロッパ諸国は中東から砂糖などを輸入していたため、このように砂糖から作られる多くのものの由来がアラビア語であったりします。

これがオランダ語において”siroop”となり、日本に伝わり”シロップ”となりました。

レモン・・・ليمون

ليمون (lymun)

レモンの由来はアラビア語で柑橘類を表す ”ليمون(ライムン)” から。

レモンの原産地は現在のインドのヒマラヤ山麗と言われ、古くは古代イランの帝国であるササン朝ペルシア帝国の人々が栽培していた記録があります。

そして、その後ササン朝ペルシア帝国を滅ぼし、中東を征服したアラブ人によりレモンの栽培は引き継がれました。

そして中世になると、聖地であるイェルサレム奪還を目指して、西欧諸国による十字軍が結成され度々中東に侵攻しました。

そして、その際の十字軍の戦利品としてレモンを持ち帰った西欧人の間にも、レモン栽培が広まります。

そんなレモンが日本に初めて来たのは明治時代の1873年であるとされ、場所は静岡県の熱海だったようです。

有名な温泉地である熱海に湯治に来ていた西欧人が、旅館の庭先にレモンの種を播いたのが始まりとされています。

その後本格的な栽培が始まり、今に至ります。

我々が普段慣れ親しんでいるおなじみの果実にも、このような歴史があったのですね。

アサシン・・・ حشاشين 

 حشاشين (ḥašašyīn)

創作物などで有名な暗殺者を意味する”アサシン”もアラビア語由来です。

中世アラビア世界において、イスラムの2大宗派の一つシーア派の分派にニザール派という分派がありました。

彼らは要人暗殺などを生業としていたことから、”暗殺教団”などと言われていました。

その創設者にして”山の長老”とも呼ばれていたハサン・サッバーハが、暗殺に赴く教団の若者の恐怖を無くすために”حشيش”(ハシシ・大麻の意)を与えていたことから彼らを”حشاشين”(ハサシン)と呼ぶようになったという説があります。

”山の翁” ハサン・サッバーハ

 画像引用 https://www.chickennoneta.com/entry/2019/03/10/222955

この単語は英語にも輸入され、暗殺者の事を assasin(名詞)。

そして”暗殺する事”を assasinate(動詞) というようになりました。

イスラム教のアサシンは日本の忍者同様、ミステリアスなベールに包まれた存在である為、フィクションの題材としてとても人気です。

まとめ

いかがだったでしょうか?

西欧諸国に後れをとっているように見えた中東世界ですが、実はイギリスの産業革命以前は自然科学において西欧よりも中東の方が進んでおり、その名残として自然科学分野においては様々なアラビア語由来の単語が存在しています。

我々日本人から見るとどこかミステリアスで魅力的なアラブの世界。

この記事を読んで下さった皆様もこれを機にアラブ世界に興味を持っていただけたら幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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