NFTアートの内、最も高価な取引がされたNFT作品がわかります。
NFT(非代替性トークン)は、ここ数年でアート、ゲーム、音楽、さらにはファッションなど、あらゆる分野で注目を集めてきました。
NFTとは、”Non-Fungible Token(非代替性トークン)”の略称で、ブロックチェーン技術を用いて作られる、世界にひとつだけのデジタル資産を意味します。
これまで、デジタルデータは簡単にコピーや改ざんが可能で、「本物」と「複製」の区別がつきにくいという問題がありました。
しかしNFTは、ブロックチェーン上に所有者や取引履歴、作品の識別情報などが記録されることで、そのデータが誰のものであり、どのような来歴を持っているかが明確になるという画期的な仕組みです。
とりわけ一部のNFTアートは、想像を超えるような高額で取引され、世界中の投資家やコレクターの間で話題となっています。
この記事では、これまでに実際に取引された中で、特に高値を記録したNFT作品トップ10を紹介します。
価格だけでなく、作品に込められた背景や社会的意義、購入者の情報などにも触れながら、NFTの魅力とその可能性をわかりやすくお伝えします。
NFT市場の「今」と「価値の本質」を知るきっかけとして、ぜひ参考にしてみてください。
- 1位:Everydays: The First 5000 Days・・・6930万ドル(約75億円)
- 2位:Clock・・・5270万ドル(約60億円)
- 3位:HUMAN ONE・・・2890万ドル(約33億円)
- 4位:CryptoPunk #5822・・・約2370万ドル(約27億円)
- 5位:CryptoPunk #7523・・・約1175万ドル(約12億円)
- 6位:TPunk #3442・・・約1050万ドル(約11億円)
- 7位:CryptoPunk #4156・・・約1020万ドル(約11億円)
- 8位:CryptoPunk #5577・・・約770万ドル(約8億8000万円)
- 9位:CryptoPunk #3100・・・約760万ドル(約8億円)
- 10位:CryptoPunk #7804・・・約760万ドル(約8億円)
- まとめ
1位:Everydays: The First 5000 Days・・・6930万ドル(約75億円)
『Everydays: The First 5000 Days』は、アメリカのデジタルアーティスト、Beeple(本名:マイク・ウィンケルマン)が制作したNFTアートです。
この作品はそのタイトルの通り、彼が13年半にわたって毎日1点ずつ描き続けたデジタルアート作品5000点を、1枚の巨大なコラージュとしてまとめたものとなっています。
制作の開始は2007年5月1日。
彼はそこから1日も休まず、”Everydays(毎日制作)”という習慣を守り続けていました。
内容は日々の出来事やポップカルチャー、政治風刺、SF的イメージなど、多種多様で、初期はシンプルなドローイングでしたが、次第に高度な3Dレンダリングや映像表現を駆使した、完成度の高いアートへと進化していきました。
この作品は、2021年3月にイギリスの老舗オークションハウス「クリスティーズ」に出品され、6930万ドル(当時のレートで約75億円)という価格で落札されました。
この額はNFT作品としては史上最高額であると同時に、現存アーティストの作品としても史上3番目に高額な取引となりました(当時)。
購入者はシンガポール在住の投資家で暗号資産コレクター、Metakovan(本名 Vignesh Sundaresan)でした。
『Everydays』の落札は、NFTという概念が一部の技術愛好家や暗号資産界隈の枠を超えて、アート市場そのものの価値観を揺るがす歴史的事件となります。
長らく「コピー可能」で「所有の概念が曖昧」とされていたデジタルアートに対し、ブロックチェーン技術によって「唯一性」と「真正性」が証明できるようになり、それが市場で実際の高額取引として成立した瞬間だった。
この作品の背後には、Beepleという作家の「毎日描き続ける」という執念と、それを見守ってきたコミュニティの存在がありました。
技術、努力、時代の風潮、そのすべてが重なった結果として、『Everydays: The First 5000 Days』は単なる高額なNFTではなく、デジタル時代の新しい芸術と文化の出発点として語り継がれている。
2位:Clock・・・5270万ドル(約60億円)
『Clock』は、匿名アーティスト「Pak(パック)」と、ウィキリークス創設者であるジュリアン・アサンジ氏との共作として発表されたNFT作品です。
この作品は、アサンジ氏がロンドンで拘束されてからの経過日数をカウントし続ける、シンプルで無機質な数字だけのデジタルアートです。
黒い背景に白の数字が表示されるその表現は、一見すると静かで抽象的ですが、実際には強い政治的メッセージと人道的な問いかけが込められています。
日々刻まれる「拘束された日数」は、彼が現在も自由を奪われ続けているという現実を、視覚的かつ時系列的に突きつけるものとなっております。
この『Clock』は、2022年2月にNFTとしてオークションにかけられ、約5270万ドル(当時のレートで約60億円)という高額で落札されました。
購入したのは、ジュリアン・アサンジ氏の釈放と言論の自由を支持する目的で結成された「AssangeDAO(アサンジ・ダオ)」という分散型自律組織です。
1万人以上の支援者が資金を出し合って結成され、共同でこのNFTを購入するという行動に出たことも、大きな話題を呼びました。
この作品は、単なるデジタルアートにとどまらず、NFTを用いた社会運動の象徴として位置づけられています。
ブロックチェーン上で販売されるデジタル作品が、言論の自由、政治犯の人権、国家権力の透明性といった、極めて現実的な問題と結びついたことにより、『Clock』はNFTの芸術的価値だけでなく、その社会的・倫理的な可能性をも大きく示したと言えるでしょう。
『Clock』は現在も、リアルタイムで数字が進み続けており、その存在自体が静かに、しかし力強く問いを発信し続けています。
それは、「この時代において、我々は誰の自由を守り、誰の声を見捨てているのか」という、現代社会に向けられた鋭い鏡でもあるのです。
3位:HUMAN ONE・・・2890万ドル(約33億円)
『HUMAN ONE』は、アメリカのデジタルアーティストであるBeeple(ビープル)によって制作された、フィジカルとデジタルの融合を象徴するNFTアート作品です。
この作品は、2021年11月、世界的オークションハウス「クリスティーズ」にて出品され、約2890万ドル(当時のレートで約33億円)で落札されました。
購入者はスイスの実業家でコレクターのライアン・ゼルニック氏であり、当時のNFT作品としては『Everydays』に次ぐ歴史的な高額落札となりました。
『HUMAN ONE』の最大の特徴は、NFTでありながら物理的な彫刻作品でもあるという点です。
高さ約2メートルの透明な四角柱の内部には、四面にLEDスクリーンが設置されており、その中で宇宙服をまとった人間型のキャラクターが、永遠にどこかを彷徨い続ける姿が映し出されています。
その映像はBeeple自身が遠隔でリアルタイムに更新できる仕組みとなっており、季節や世界情勢、アーティストの気分に応じて、作品の内容は絶えず変化し続けております。
このような構造により、『HUMAN ONE』は「完成された作品」ではなく、「進化し続ける作品」として存在しています。
Beepleはこの試みを通じて、アートの枠組みに対する問いかけを行っており、NFTというデジタルの形式が、現実世界にどのように接続され得るのかを示す、極めて実験的かつ未来的なアプローチを展開しています。
また、作品名の「HUMAN ONE(人類第一号)」には、デジタル世界と現実世界の狭間をさまよう新たな人間像というコンセプトが込められております。
画面内の人物は言葉を発することなく、ただ前に進み続ける存在であり、その姿は現代社会を生きる私たちのメタファーとも受け取れます。
『HUMAN ONE』は、NFTが「デジタルデータの資産化」という技術的な革命にとどまらず、アートそのものの在り方や、鑑賞という体験そのものを問い直す契機となり得ることを証明した、極めて意欲的で革新的な作品です。
デジタルアートの未来を指し示す羅針盤として、今もなお世界中の注目を集め続けています。
4位:CryptoPunk #5822・・・約2370万ドル(約27億円)
『CryptoPunk #5822』はNFTアートの象徴的シリーズ「CryptoPunks」の中でも、最も高額で取引された一体として知られる、極めて希少価値の高いデジタルアートです。
CryptoPunksシリーズとは?
CryptoPunks(クリプトパンクス)は2017年にニューヨーク拠点の開発チーム「Larva Labs(ラーバ・ラボ)」によって制作された、NFTアートの原点とも言えるデジタルコレクションです。
このプロジェクトは24×24ピクセルという極めて小さなキャンバスに描かれた、ランダム生成の人物キャラクター1万体から構成されており、発表当初はイーサリアムのウォレットさえ持っていれば無料で入手可能という形式で配布されていました。
しかし、時を経てNFTという概念が広く知られるようになると、CryptoPunksはその「最初期の存在」「唯一性」「文化的象徴性」から、瞬く間に世界中のアートコレクターや投資家の間で評価されるようになります。
各パンク(Punk)は性別や表情、アクセサリーなどが異なっています。
これらはランダムに生成されていますが、中でもゾンビ、エイプ(猿)、エイリアンといった特殊な属性のキャラクターは非常に希少であり、数千万〜数十億円で取引される例も出てきました。
単なるピクセルアートに見える彼らの中には、ニット帽、バンダナ、サングラス、パイプ、ヘッドバンドなどの特徴的なアイテムを持つ個体が存在し、それぞれのキャラクターに個性と価値を与えています。
CryptoPunksが持つ最大の意義は、単に「最初に登場したNFTアートの一つである」という歴史的ポジションだけでなく、「ブロックチェーン上でアートを所有する」という新しい文化と経済の概念を実際に社会に根づかせた点にあります。
TwitterやDiscordといったSNSのプロフィール画像としてPunkを使うことで、自らのアイデンティティやステータスを表現するという文化も広がり、やがて「PFP(プロフィールピクチャー)NFT」というジャンルを生み出す原型となりました。
その後、CryptoPunksはYuga Labs(BAYCの運営元)によって買収され、商業利用の自由度が高まったことから、より広範な展開が期待されています。
現在でも数々のPunkがオークションに出品され、再評価や再発見が続く中、CryptoPunksはNFT史における「金字塔」として、そしてWeb3時代におけるデジタル・アートの象徴的存在として、揺るぎない地位を築いています。
このCryptoPunkは、シリーズ内でもわずか9体しか存在しない「エイリアンタイプ(Alien Type)」に分類されており、その中でも水色の肌に青いバンダナを巻いた非常に個性的なデザインを持っています。
CryptoPunksは、2017年にLarva Labsによって発表された、ピクセルアート風の24×24ドットのキャラクターコレクションで、全部で1万体が存在しますが、中でもAlienタイプは特に希少性が高く、コレクター間で非常に高い評価を受けています。
『#5822』は2022年2月に、8000ETH(当時のレートで約2370万ドル/約27億円)で取引されました。
この金額は、CryptoPunksシリーズ全体の中でも史上最高額であり、NFTアート市場全体を見渡しても、トップクラスの高額取引のひとつとして記録されています。
購入者は、ブロックチェーン・インフラ企業「Chain」社のCEOであるDeepak Thapliyal氏であり、自身のTwitterアカウント上でこのPunkの購入を公表したことで、大きな話題となりました。
この取引は、NFT市場がピークの熱気を帯びていた時期を象徴する出来事であり、デジタルアートやオンチェーンアセットの価値に対する世界の注目度を一気に押し上げる役割を果たしました。
『CryptoPunk #5822』は、もはや単なるアート作品ではなく、デジタルアイデンティティの象徴、そしてWeb3時代における資産価値の新たな形を提示する存在として、多くの投資家やアートコレクターの間で語り継がれています。
5位:CryptoPunk #7523・・・約1175万ドル(約12億円)
『CryptoPunk #7523』は、NFTアートの代表的存在である「CryptoPunks」シリーズの中でも、最もレアで象徴的なキャラクターのひとつとして知られています。
このキャラクターは、青緑色の肌を持つ「Alien(エイリアン)タイプ」に属しており、CryptoPunks全体1万体の中でもわずか9体しか存在しない極めて希少な種別です。
さらにこの#7523は、ニット帽をかぶり、金のイヤリングをつけ、医療用マスクを装着している唯一のAlien Punkであることから、「COVID Alien(コロナ・エイリアン)」というニックネームで親しまれています。
このNFTは、2021年6月にロンドンのオークションハウス「サザビーズ(Sotheby’s)」で開催されたNFT特化のセールにおいて、1175万ドル(当時のレートで約12億円)という驚異的な価格で落札されました。
購入者はイスラエル系アメリカ人の実業家であり、著名なNFTコレクターとしても知られるShalom Meckenzie(シャローム・マッケンジー)氏で、スポーツギャンブル会社DraftKingsの大株主でもあります。
この取引は、NFTアートが伝統的なアートマーケットと本格的に交差した瞬間であり、またコロナ禍という世界的文脈を背景に持つ作品が、時代の象徴として高く評価された例としても注目を集めました。
『CryptoPunk #7523』は、ピクセルアートという限られた表現手法の中で、社会的メッセージ性と希少性を同時に体現している傑作であり、NFTアートの可能性を示す金字塔のひとつとして、今もなお世界中のコレクターやアート関係者の関心を集め続けています。
6位:TPunk #3442・・・約1050万ドル(約11億円)
『TPunk #3442』はNFTコレクション「TPunks(ティーパンクス)」の中でも特に話題を集めた一体であり、CryptoPunksへのオマージュとして作られたTron(トロン)ブロックチェーン上のピクセルアートNFTです。
このTPunkは、青い肌と特徴的なピエロ風の髪型、サングラスを備えた独特なビジュアルを持ち、CryptoPunksで言えば「Joker(ジョーカー)」風のキャラクターに相当するスタイルです。
その希少性やデザイン性もさることながら、最大の注目点はこのNFTが約1050万ドル相当で取引されたことにあります。
購入者はTronの創設者であり、暗号通貨業界の著名人であるジャスティン・サン(Justin Sun)氏です。
彼はこのTPunk #3442をTronエコシステムの象徴的な存在として購入し、後に「APENFT財団」へ寄贈しています。
この行為は単なる収集という枠を超え、NFTを用いた文化資産の支援やブロックチェーン上の価値保存の実験としても受け止められました。
『TPunk #3442』の取引は、NFT市場の中心がイーサリアムから他のチェーンへと広がりつつある潮流を象徴する出来事でもありました。
TPunks自体はCryptoPunksの模倣として批判を受けることもありますが、この#3442に関しては「模倣から独自性へ」の転換点を象徴する存在とも言えるでしょう。
このように『TPunk #3442』は価格の高さだけでなく、NFTがどのようにブロックチェーンの文化的価値を担保するかというテーマにおいても、極めて意義深い存在となっています。
ジャスティン・サンの象徴的な動きとともに、Tron上のNFT市場活性化にも貢献した歴史的な1点といえるでしょう
7位:CryptoPunk #4156・・・約1020万ドル(約11億円)
『CryptoPunk #4156』は、CryptoPunksコレクションの中でも特に象徴的かつ文化的影響力の大きいNFTのひとつです。
このPunkは、シリーズ内でもわずか24体しか存在しない「Ape(エイプ)タイプ」に属しており、頭には青いバンダナを巻いています。
この特徴的なデザインとシンプルながらも印象的な佇まいが、多くのNFT愛好家の間で長く親しまれてきました。
特に注目されたのは、このPunkを保有していた匿名人物「Punk 4156」氏の存在です。
彼はこのNFTを自身のアイコンとして使用し、TwitterやWeb3の文化圏で強い影響力を持つ存在となりました。
NFTの思想やDAO(分散型自律組織)の未来について積極的に発信し、『Nouns DAO』といったプロジェクトにも深く関わっています。
つまり『CryptoPunk #4156』は、単なる高額NFTという枠を超え、アイデンティティと思想の象徴となっていたのです。
このPunkは2021年12月、2500ETH(当時のレートで約1020万ドル/約11億円)で売却されました。
売却の理由はPunk 4156氏がCryptoPunksの権利体系に疑問を抱いたことにあります。
具体的にはCryptoPunksの運営元であるLarva Labsが、商用利用に関する制限を設けていた点に強い不満を抱き、「思想とアイデンティティの自由」を守るためにあえて自らの象徴を手放すという選択をしたのです。
この出来事はNFTが単なる資産やアート作品にとどまらず、人間の信念や思想表明のツールとしても機能し得ることを世界に示しました。
そして『CryptoPunk #4156』は、今なおその背景とともに語られる、NFT史において特別な意味を持つ存在となっています。
8位:CryptoPunk #5577・・・約770万ドル(約8億8000万円)
『CryptoPunk #5577』は、NFTコレクション「CryptoPunks」の中でも特に希少で人気の高い「Ape(エイプ)タイプ」に属する1体であり、その中でもカウボーイハットをかぶったユニークなデザインで知られています。
このPunkは、2022年2月に、2501ETH(当時のレートで約770万ドル/約8億8千万円)で取引され、大きな注目を集めました。
購入者として有力視されたのは、分散型金融(DeFi)プロトコル「Compound」の創設者であるRobert Leshner(ロバート・レシュナー)氏で、彼はこの購入の直後に「Yeehaw」という一言をTwitterに投稿し、その意図を暗に示しました。
『CryptoPunk #5577』は、CryptoPunksの中でもわずか24体しか存在しない「Apeタイプ」であり、さらにカウボーイハットというレアなアクセサリーを身に着けていることで、ビジュアル面・希少性ともにトップクラスとされています。
その佇まいは野生的でありながらも洗練された個性を感じさせ、多くのNFTファンから高い評価を受けています。
この取引は、NFT市場がまだ高い熱量を保っていた時期に行われたものであり、単なる投資目的ではなく、自己表現やデジタル・アイデンティティの一環としてのNFT保有という文脈が強く意識されていたことを示しています。
またブロックチェーン上での「所有」という概念が、リアル世界と同じくらいの影響力や誇りを持ち始めたことを象徴するエピソードでもありました。
『CryptoPunk #5577』は価格の高さのみならず、その背景にある人物やメッセージ性、そして独特の風貌から、NFT史に残る一体として今なお語り継がれています。
デジタル空間における「唯一無二の存在」として、その存在感は確かなものとなっています。
9位:CryptoPunk #3100・・・約760万ドル(約8億円)
『CryptoPunk #3100』はNFTアートの先駆けである「CryptoPunks」シリーズの中でも、極めて希少で象徴的な存在として知られるデジタルキャラクターです。
このキャラクターはCryptoPunksの中でわずか9体しか存在しない「Alien(エイリアン)タイプ」に属しており、その中でも特にミニマルで洗練された印象を与える、青緑色の肌と白いヘッドバンドというシンプルな装いが特徴です。
その端正な外見と稀少性から、NFTコレクターの間では早くから注目の的となっていました。
『#3100』は2021年3月に4200ETH(当時のレートで約760万ドル/約8億円)で購入されました。
この取引は当時NFT市場が急激に拡大していたタイミングに行われ、CryptoPunks全体の価値を大きく押し上げる象徴的な出来事となりました。
このNFTが持つ魅力は、価格の高さや希少性だけではありません。
『CryptoPunk #3100』は、ピクセルアートの極限ともいえる24×24ドットという制限の中で、控えめながらも圧倒的な存在感を放つデザインで、多くの人々に「デジタルアートとは何か」「本物の価値とは何か」という問いを投げかけてきました。
また所有者の匿名性もまた、このNFTに神秘的なオーラを加えており、一部では「美術館や機関投資家が保有しているのでは」といった噂が流れたほどです。
近年ではこのPunkが再び市場に登場する可能性があるとの報道もなされており、その動向は常にNFT界隈で注目を集めています。
『CryptoPunk #3100』は、NFTアートの初期衝動とブロックチェーンによる新しい価値観の象徴として、今なおNFT史における金字塔的存在であり続けています。
静かで気品あるその姿は、デジタル世界における「唯一無二」の美学を体現していると言えるでしょう。
10位:CryptoPunk #7804・・・約760万ドル(約8億円)
『CryptoPunk #7804』は、NFT界の象徴的存在である「CryptoPunks」シリーズの中でも、美術的評価と哲学的象徴性の両面において、極めて高い評価を受けている1体です。
このキャラクターは、シリーズ内でもわずか9体しか存在しない「Alien(エイリアン)タイプ」に属しています。
パイプをくわえ、シャドー付きのサングラスをかけ、キャップをかぶったスタイルが特徴となっています。
まるで思索にふける賢者のような佇まいから、「Crypto Philosopher(暗号の哲人)」という愛称でも知られています。
『#7804』は、2021年3月に4200ETH(当時のレートで約760万ドル/約8億円)で売却されました。
これは同時期に取引された『CryptoPunk #3100』と並び、NFT市場の初期バブル期における最も高額な取引の一つでした。
購入者は、当時Twitter上で活動していたハンドル名「Peruggia」を名乗る匿名の人物であり、その取引の背後には、デジタル資産の新たな価値観に対する深い洞察があると多くの識者が考察しています。
『CryptoPunk #7804』の注目すべき点は、その見た目の美しさや希少性だけではありません。
このPunkは、「NFTは単なる投機対象ではなく、デジタル時代におけるアイデンティティと思想の表現手段である」という哲学を体現する存在として語られてきました。
実際、以前の所有者であるDylan Field(FigmaのCEO)は、自らの分身のようにこのPunkを扱い、「デジタル時代のピカソ」とも称されたほどです。
その姿はどこか気品があり、物静かな知性を湛え、混沌としたNFT市場においても一線を画す独自のオーラを放っています。
『CryptoPunk #7804』はアートとしての価値、思想としての深み、そしてデジタル資産としての革新性を兼ね備えた、まさに時代を象徴するNFTのひとつと言えるでしょう。
今もなお、その存在は「NFTとは何か」という問いに対する答えのひとつとして、多くの人々の記憶に刻まれ続けています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
この記事では、史上最も高額で取引されたNFT作品トップ10をご紹介しました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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