ニコニコテレビちゃんのレギュレーション担当が語る「秘密」|dwango creator’s blog
ニコニコテレビちゃんのレギュレーション担当が語る「秘密」 | dwango creators’ blog(ドワンゴクリエイターズブログ)
みなさんはニコニコ動画をご存じですか?
ニコニコ動画は、株式会社ドワンゴが2006年末から運営を開始し、一時期はYoutubeを凌ぐほどの勢いがあった動画サイトです。
開発には当時のドワンゴ会長であった川上量夫氏の他、現在メディアにもたびたび出演している西村博之(通称ひろゆき氏)氏が携わっており、ニコニコ動画の特徴でもある動画に流れる”コメント機能”は彼の発案であったといいます。
動画に好きにコメントが出来、自分がしたコメントが動画上に流れるというシステムは、今(2023年)にしても画期的なシステムだと思います。
何を隠そう私syuyaは、このニコニコ動画の黎明期からの利用者であり、動画投稿こそしてないものの一ユーザーとしてその趨勢を見守ってきました。
いわば私の青春の一ページであるといっても過言ではなく、この動画サイトのおかげで多くのサブカルチャーに触れる事ができました。
今でこそ勢いを無くしてしまいましたが、全盛期にはそれこそ毎日お祭りのように盛り上がっていた動画サイトです。
この記事では私が知る限りでのニコニコ動画の歴史を、皆さんにお教えしたいと思います。
part1は(仮)時代から冬時代までをご紹介します。
- ニコニコ動画(仮)時代 (2006年12月12日~2007年1月15日)
- ニコニコ動画(β)時代 (2007年1月15日~2007年2月24日)
- ニコニコ動画γ時代 (2007年3月6日~2007年6月17日)
- ニコニコ動画RC時代 (2007年6月18日~2007年10月10日)
- ニコニコ動画RC2時代(2007年10月10日~2008年3月5日)
- ニコニコ動画SP1時代(2008年3月5日~2008年7月5日)
- ニコニコ動画夏時代(2008年7月5日~2008年10月1日)
- ニコニコ動画秋時代(2008年10月1日~2008年12月5日)
- ニコニコ動画冬時代(2008年12月5日~2008年12月12日)
- フォーラム
- まとめ
ニコニコ動画(仮)時代 (2006年12月12日~2007年1月15日)
最初のニコニコ動画の名称は、ニコニコ動画(仮)という名称でした。
名称の由来はそのまま、正式名称が決定されておらず”仮称”という事でつけられたそうです。
ニコニコ動画最初期であり、私が利用を始めたのもこの頃です。
当時、ニコニコ動画は独自の動画サービスを持っておらず、先行して動画共有サービスを行っていたアメリカの動画サイトであるYouTubeの動画をページに表示し、それにコメントが出来るというサービスを行っていました。
その為、この当時のニコニコ動画の動画はニコニコ動画サイト上には存在せず、現存するのは後に有志により改めてニコニコ動画サイト上にアップロードされた動画となっています。
ゲーム動画
当時の動画では任天堂のゲームであるスーパーマリオシリーズのTAS(tool asisted speedrun)動画や、ゲームのROMをいじって作った「改造マリオ」等の動画が流行っていました。
最初期はゲーム実況などではなく、ただ単にプレイ動画が上げられていました。
まだTAS動画などの知識がなかった当時の私は、ものすごくゲームが上手い人がいるんだなぁ、と感心した思い出があります。
ドナルド・マクドナルドのらんらんるー
マクドナルドのマスコットキャラクターであったドナルド・マクドナルド
画像引用 https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/122.html
外食チェーンマクドナルドのキャラクタードナルド・マクドナルドが謎のポーズ”ランランルー“をする動画が流行りました。
元々はマクドナルドのテレビCMです。
ピエロ姿のドナルドが謎の言葉を発しながら謎の動作をするというそのCMがとてもシュールで、当時のネットユーザーに大人気となりました。
後にこのCMを編集した多くのMAD動画が制作される事となります。
KBC(キーボードクラッシャー)
パソコンのキーボードを謎のハイテンションでたたき壊すドイツの少年通称”KBC(キーボードクラッシャー)“の動画が流行りました。
ドイツ人の少年Leopold Normand(レオポルド・ノーマンド)君が、ドイツ語で奇声を発しながらキーボードをたたき壊すという動画です。
我々日本人からすれば彼の話しているドイツ語は理解できなかったのですが、ただならぬ様子でキーボードをたたき壊す様子は多くのネットユーザーの注意を引きました。
一部の彼のセリフが日本語に聞こえる事から、いわゆる”空耳”が流行りました。
阿部高和(くそみそテクニック)
とある男性同性愛者向けの成人漫画のキャラクター、謎のイケメンバイセクシャル阿部高和の動画が流行りました。
阿部高和の元ネタは山川純一という漫画家が書いた、同性愛者向けの成人漫画”くそみそテクニック”に登場するキャラクターです。
山川純一著 ”くそみそテクニック”より、阿部高和
https://minkara.carview.co.jp/userid/339422/blog/43477371/
”くそみそテクニック”のあらすじは、男に興味がある予備校生道下正樹が、公園で座っていたイケメン自動車整備工でゲイである阿部高和に誘われて、公園のトイレに入っていき・・・というものです。
ニコニコ動画ではその歴史全般を通じて、こういった同性愛者をネタにした動画が一定の人気を持っていました。
この時期のニコニコには、それ以前からネットに出回っていた面白い動画たちが上げられています。
また、この時代のニコニコ動画は独自のサーバーを持っていませんでした。
そのため、Youtubeの動画を借用してそこにコメントをするという仕組みであったことから、この時代の動画はニコニコには残っていません。
当時の私はコメントが流れる動画というものに衝撃を受けまして、暇を見つけては動画を見漁っていました(笑)
ニコニコ動画(β)時代 (2007年1月15日~2007年2月24日)
続いては2番目のバージョンであるニコニコ動画(β)です。
(仮)からバージョンアップしたこの時代は、徐々にネットユーザーにニコニコ動画が認知され始めた時期でもあります。
また今なお昔を懐かしむニコニコ最古参ユーザーからは、”一番良かった時代”とも言われている時代です。
当時、動画をアップロードする側もダウンロードする側も多くの制約があり(動画容量100Mb以下、動画時間10分未満等)、動画の編集のクオリティというより、むしろ動画のネタのクオリティが重視されていた時代です。
糞スぺックかつ短時間でどうやって面白い動画が造れるのか?
皆がそのように苦心した結果、とんでもなくカオスな動画たちが生まれていきます
この当時に盛り上がった御三家と呼ばれる代表的な3つの動画があります。
これらの動画のコメントの特徴として、
・歌詞やセリフ等が本来の言葉とは別の言葉に聞こえた場合、それをコメントする”空耳”
空耳コメント
https://www.nicovideo.jp/watch/sm303 より
・複数のユーザーが一斉に歌詞等、同じコメントをすることにより動画がコメントで埋め尽くされる”弾幕”
動画を埋め尽くすコメント弾幕
https://www.nicovideo.jp/watch/sm367861 より
・コメントで絵を描く”コメント職人”、通称”職人”
コメント職人によってコメントで描かれた絵
https://www.nicovideo.jp/watch/sm5202963 より
等の特徴があげられます。
これらは後の動画にも受け継がれていくこととなります。
動画にみんなで一斉に同じコメントをしたり、コメントで絵を描いたりするのは祭りみたいでとても楽しいものでした。
ときおり現れるセンスのいいコメントなどによく爆笑してました。
下記に御三家の動画と、それぞれの代表的な空耳・弾幕を記していきます。(カッコ内は空耳の元の歌詞・セリフ)
レッツゴー!陰陽師
通称、陰陽師
PS2の格闘ゲーム”新豪傑寺一族ー煩悩開放ー”というゲームで、一定の条件を満たすと観られる隠しPVをアップロードした動画です。
PS2ゲーム 新豪傑寺一族ー煩悩開放ー
画像引用 https://shop.tsutaya.co.jp/game/product/456021953005
8/
ニコニコ動画といったらこの動画という程、ニコニコ動画を代表する動画です。
内容は歌詞に合わせて、陰陽師風の男たち3人組が歌って踊る動画です。
あくまで陰陽師”風”なのがポイントです。
この動画自体は前述の(仮)時代からあり、”最古”のニコニコの投稿動画であります。
~弾幕・空耳~
・どーまんせーまんどーまんせーまん
・遺影☆(イエイ!)
・ぷよぷよするなぁ!(くよくよするなぁ!)
・うううううううううううううううううう 等
余談ではありますが、このムービーで踊っている三人組は本編には全く出てこず、隠しムービーで初めて登場する謎のキャラクター達です。
条件を満たしたプレイヤー達は、いきなり現れた謎の三人組に”?”マークを頭に浮かべたといいます。
この隠しムービーがニコニコであまりに有名になってしまい、本編ゲームを全然知らないのにこの動画は知っているという人が大勢現れました。
因みにこのゲームは現在プレミアが付いており、購入するのは大変難しいと聞きます。
Nursery Rhymeーナーサリィ☆ライムー
通称、きしめん
”Nursery Rhyme -ナーサリィ☆ライム-”というPCで発売されたアダルトゲームのOP動画です。
OP曲”true my heart”の歌詞の一部、”素直な気持ち抱きしめ”の最後の部分が”きしめん”に聞こえる事から、そのように呼ばれています。
空耳曲として有名ですが、普通に聞いても良曲です。
~空耳・弾幕~
・きしめえええええええええええええええん!
・お○ニーも好きだよ!(こんなにも好きだよ) 等
あいつこそがテニスの王子様
※2024年、オリジナル動画が削除されたため、上記の動画は有志による再アップロード動画となります。
通称、テニミュ
甲斐剛先生原作の少年ジャンプの漫画”テニスの王子様”のミュージカル動画です。
テニスの王子様
原作 甲斐剛
画像引用 https://tv-aichi.co.jp/tennipri/-
テニスの王子様のミュージカル。略してテニミュと呼ばれています。
いたって普通のミュージカルの動画なのですが、その出演者達の個性のある演技や、所々の歌詞の空耳などが当時の視聴者達のツボにハマり、とても人気を博しました。
~空耳・弾幕~
・俺はお嫁に行くよ(俺は上にいくよ!)
・猫駆除だ!(下剋上だ!)
・奴隷人生(俺に人生)
・海鮮炒めじゃないんだよ!(返せない球じゃないんだよ!) 等他多数
他にも様々な動画が流行っています。
バンダイナムコゲームスから2007年にXbox360用ソフトとして発売された、女の子を育成してアイドルとしてデビューさせるゲームである”アイドルマスター”の動画。
2004年に放映されたアニメ”MADLAX”の挿入歌である”no where”。
サビの部分の特徴的なスキャットが特徴的な、通称”ヤンマーニ“。
同名のタイトルであるアダルトゲームのOP曲。
サビの部分で”@@@@@@@@@@@@@@@@@@”とコメントするのがお約束である”ふぃぎゅ@めいと”などが流行りました。
当時のニコニコ動画を代表するこれらの楽曲は後にファン制作の”組曲ニコニコ動画”というメドレーに取り入れられ、人気を博しました。
当時はまだ”インターネット=オタクの世界”と言われていた時代で、あまり一般人はネット動画などをそこまで頻繁に見ていない時代でした。
ニコニコ動画もそんな世相を反映して、オタク向けのサブカルチャー的な動画が多く上げられました。
ニコニコ動画γ時代 (2007年3月6日~2007年6月17日)
ニコニコ動画の3番目のバージョンはニコニコ動画γです。
γに代わるタイミングで、ニコニコ動画は完全な会員制へと変わります。
またそれまでの動画はアップロードするために一度YouTubeにアップロードした後にニコニコ動画にアップロードするというややこしい手順を踏んでいたのを、独自のサーバー”SMILEVIDEO”の立ち上げにより省略する事に成功し、従来に比べ高品質の動画をアップロードする事が可能となりました。
ニコニコ動画γでは、β時代に生まれた動画たちやその方向性等をそのままに、更に多様な動画たちがアップロードされていきます。
アニメ・ゲーム動画
アニメ MADムービー(遊戯王MAD等)
アニメ”遊☆戯☆王デュエルモンスターズ”の162話において、激怒のあまり主人公の遊戯が敵のインセクター羽蛾に対し、速攻魔法カード”狂戦士の魂(バーサーカーソウル)”を使用して、永遠に自分のターンとして攻撃しようとします。
遊戯王OCG 狂戦士の魂
https://www.amazon.co.jp/%E9%81%8A%E6%88%AF%E7%8E%8BOCG-%E7%8B%82%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%81%AE%E9%AD%82-cpl1-jp007-R-%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%91%E3%83%83%E3%82%AF-%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%81%AE%E6%B1%BA%E9%97%98%E8%80%85%E7%B7%A8/dp/B00KDCW20G
そして、傍らにいた杏子に止められるも、怒りが収まらない遊戯は、なおもバーサーカーソウルで羽蛾を攻撃しようとしました。
この一連のシーンは、そのシュールさも相まって大いに流行りました。
この時流れている曲”クリティウスの牙”もニコニコで大いに流行りました。
ゲームを改造してオリジナルのステージを作りそれをプレイする動画(友人マリオ等)
プレイヤーがジャンプするであろう場所に隠しブロックを設置する事で、ジャンプを阻止して落下死させるギミックを”孔明の罠(中国三国志時代の蜀の名宰相、諸葛亮孔明から)”と呼びます。
巧妙にしかけられた”孔明の罠”に、プレイヤーが引っ掛かった時などはコメントが大いに沸きました。
巧妙な罠+孔明が合体して孔明の罠となったようです。
プレイヤーがひっかかった時などに「孔明www」などとコメントするのがお約束でした。
アイドルマスターのMADや関連動画
当時はアイドルマスターがとても流行っており、その楽曲である”GO MY WAY!!”や”エージェント夜を往く”などはニコニコ動画でとても人気の楽曲となりました。
ZUN氏による人気同人シューティングゲーム”東方project”の動画とその関連動画
ニコニコ動画でその歴史全般を通じて人気があったのは、ゲームクリエイターであるZUN氏が制作した同人シューティングゲームである”東方projevt”のコンテンツでした。
東方Projectは個人のゲーム開発者であるZUN氏が1996年から一時期休止期間を挟みながら制作してきたシューティングゲームです。
作りこまれた世界観や可愛らしいキャラクター達、そしてZUN氏自らが作曲したゲーム内ミュージック等がとても人気となりました。
特に東方projectの動画(通称東方)はニコニコ動画との親和性が高かったのか、その後にニコニコ動画において一大ジャンルとなります。
また、この頃は丁度京都アニメーション(京アニ)の全盛期でした。
その京都アニメーションの作品である”涼宮ハルヒの憂鬱”や”らき☆すた”などの動画もアップされ、多くの人に視聴されました。
涼宮ハルヒやらき☆すたはOPやEDでキャラクターがダンスするのですが、後にそれを現実世界で踊り動画におさめた”踊ってみた”動画も人気となります。
当ブログでは涼宮ハルヒを始め、日本のアニメ文化を語る上で見るべきアニメをご紹介しています。
合わせてお読みください。
ニコニコ動画RC時代 (2007年6月18日~2007年10月10日)
4番目のバージョンであるこのRCでは、β時代のカオスが再び戻ってきたかのように様々なジャンルの動画が見境なくアップロードされ、毎日がお祭り騒ぎとなっていました。
γ時代までのジャンルに加え、新たなジャンルの多種多様な動画が上げられます。
ガチムチパンツレスリング
海外の同性愛者向けのビデオに出演した、筋骨隆々の外国人男性同士の”パンツを脱がされた方の負け”という謎ルールで戦うレスリング動画”ガチムチパンツレスリング”が人気を博しました。
英語で話しているはずの彼らの会話が、一部空耳により日本語に聞こえる事から、その空耳を”語録”としてコメントする事が流行りました。
~ガチムチパンツレスリングの空耳~
・仕方ないね
・ナウい♂息子
・ホイホイチャーハン♂?
・最強♂とんがりコーン 等他多数
アメリカのゲイポルノ男優であるビリー・ヘリントン氏が出演した”Workout: The Directors Cut”というゲイポルノビデオが元ネタです。
生前のビリー・ヘリントン氏
https://wikiwiki.jp/city/%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%98%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3
ビリー氏はニコニコ動画で人気を博したことがきっかけで、後に度々日本に訪れていましたが、 2018年に交通事故により亡くなってしまいました。
フタエノキワミ
その面白すぎる空耳により話題になった少年ジャンプのマンガ”るろうに剣心”のアニメの海外放映版、通称”フタエノキワミ”がとても流行りました。
こちらも外国語で話されているはずのセリフが日本語に聞こえる”空耳”が話題となり、ニコニコにおける一大ブームとなりました。
~フタエノキワミの空耳~
・フタエノキワミ、アーッ!
・ガトチュ☆エロスタイム!
・うん、ゴブリンバット! 等他多数
元ネタはるろうに剣心のアニメ第59話『命運尽きず!闘志、今よみがえる』の前話のおさらい部分の海外翻訳版です。
日本語版では声優のうえだゆうじさん演じる相楽左之助が「二重の極み」とカッコよく決めているシーンが、何故か英語版では間の抜けたようなカタコト日本語の”フタエノキワミ、アーッ!”となってしまっていたことから大いに笑いを誘い、人気を博しました。
やってみた系動画
実際に顔出ししてゲテモノ等を食べたりする、現在のYoutuber的な”やってみた系”動画などが流行りました。
毒キノコや賞味期限切れの食品などを食すという体を張った動画が人気でした。
翌日お腹を壊すなどオチも完璧です。
特にガチムチパンツレスリングと、フタエノキワミの空耳はニコニコ動画を代表するスラングとなり、ニコニコ動画内だけでなく別の場所でも使ってしまうニコニコユーザーも多数いたようです。
ボーカロイド
またこの頃にボーカロイド”初音ミク”が販売開始し、”みくみくにしてあげる♪”等の最初期のボーカロイド曲がアップロードされたのもこの頃です。
初音ミク
画像引用 https://piapro.net/pages/character
この初音ミクをつかって作詞作曲し、ミクに歌わせた動画をアップする人をボカロP(プロデューサー)と言い、後に多くのボカロPがニコニコ動画に動画をあげることとなりました。
組曲『ニコニコ動画』
本当にこの頃は毎日新しい面白い動画が次々とアップロードされ、一刻たりともパソコンの前から離れられない状況でした。
そんな我々のような人間は”ニコニコ中毒者”略して”ニコ厨”と呼ばれました。
動画投稿者しもさんが投稿されたDTMの音楽動画”組曲『ニコニコ動画』”はそんな私たちニコ厨の為に作られた動画であり、その当時ニコニコで流行っていた楽曲をつなぎ合わせたメドレーとなっており、当時の私たちを感動させました。
ゲーム実況
そして最初期のゲーム実況者の一人であるジャック・オ・蘭たんさんが最初にゲーム実況動画を上げられたのもこの頃であり、後にニコニコ動画の一大ジャンルとなる”ゲーム実況動画”の萌芽があったのもこの頃といえます。
ゲーム実況というジャンルは後に大いに発展し、様々なゲーム実況者が現れました。
ニコニコ動画RC2時代(2007年10月10日~2008年3月5日)
ニコニコ動画の5番目のバージョンはニコニコ動画RC2です。
この頃には凡そニコニコ動画というものの方向性が固まりつつあり、ニコニコというプラットフォームは当時の中学・高校生など若者を中心にサブカルチャーの発信基地のような立場となります。
日本に限定して言えば当時のyoutubeよりも遥かに勢いがありました。
またアニメなどの著作権などの規制も現在よりは甘く、無断アップロードをする投稿者とそれを削除する運営とのイタチごっこは一種の風物詩となっていて、それもユーザーを楽しませました。
この頃の動画としては
アニメ・ゲーム
当時放送されていたアニメ”ひぐらしのなく頃に”のMADである”ひぐらしMAD”が流行りました。
https://www.at-x.com/program/detail/1975
”ひぐらしのなく頃に”の原作は同人ゲーム作家の竜騎士07氏により制作されたノベルホラーゲームです。
閉鎖的な村で起こる様々な惨劇が描かれ、そのグロテスクな描写などが話題となりました。
昔の突っ込みどころ満載のゲームの動画(呪いの館、チーターマンなど)が流行りました。
昔のゲームならではの、理不尽さや突っ込みどころなどが話題を呼び人気となりました。
これらのゲームの登場キャラやBGMを使った二次創作も数多く作られました。
やってみた系動画
前記のヲタケン動画にリスペクトされた、ゲテモノを食べる人の動画(馬犬さん等)が流行りました。
東方project
前記の同人ゲーム東方projectのmadである”東方mad”や、ゲームに使用される音楽に歌詞をつけて歌った”東方ボーカル”が流行りました。
ZUN氏が作曲した東方projectのゲームのBGMは、オリジナルの出来が素晴らしいため、それをアレンジした楽曲もどれもハイクオリティな出来となりました。
ゲーム実況
実況プレイにおいてはいわゆるイケボ(イケメンボイス)実況が流行っており、
“訛り実況プレイ”シリーズをアップロードされていたKIRINさん。
”まったり実況プレイ”シリーズをアップロードされていた囲炉裏さんが動画を上げ始めたのもこの頃です。
ゲーム実況とホラーゲームは相性が良いため、PS2より発売された”零シリーズ”を始め数多くのホラーゲームが実況者によって実況されました。
MMD動画
そして、樋口優氏によって開発・無償公開された3DGGムービー制作ツールMikuMikuDance(MMD)が発表され、後の一大ジャンルMMD動画へとつながります。
MMDは第三者によって製作されたMMDモデルを適用する事によって初音ミク以外のキャラクターを動かすことが出来るようになります。
これにより、後に主に東方projectのキャラモデルによる東方MMDが流行りました。
ニコニコ動画SP1時代(2008年3月5日~2008年7月5日)
ニコニコ動画の6番目のバージョンはニコニコ動画SP1です。
アニメMAD
この時代もまだアニメのアップロードに対する運営側の対処も甘く、アニメ本編を切り抜いたりして編集したアニメMADがアップロードされ流行りました。(現在では削除され見れないものもあります)
ヤンデレCDと会話させるシリーズ
また前年(2007年)に放送していたアニメスクールデイズ等の流行を受け、オタク界隈ではそれまでのツンデレ美少女から流行が移り、病的までに主人公を愛してしまい最悪主人公を監禁したり、○してしまう女性、いわゆるヤンデレ美少女のブームが起きていました。
ニコニコ動画ではビートニクス・EDGE RECORDSレーベルより制作、販売されたサンプリングCD”ヤンデレの女の子に死ぬほど愛されて眠れないCD”(通称ヤンデレCD)と、アニメやゲームのキャラクターを会話させるヤンデレCDと会話させるシリーズが流行しました。
ヤンデレCDではヤンデレの妹が兄を愛するあまり、最終的に兄を独り占めするため兄を〇してしまいます。
しかし、〇したいほど愛してくれる女の子というのが当時のネットユーザーからは羨ましくもあり、恐ろしくもあったようです。
ゆっくり動画
また、テキスト読み上げソフト”SofTalk”、通称”ゆっくり”を使った動画が投稿され始めたのもこの頃です。
ゆっくり動画によく使われるゆっくり魔理沙(左)とゆっくり霊夢(右)
https://wpb.shueisha.co.jp/news/lifestyle/2022/05/07/116180/
このゆっくり動画も、後のニコニコの一大ジャンルとして地位を確立していきます。
SofTalkは自分の声により身バレしたくない動画投稿者たちに人気のツールとなりました。
ニコニコ動画夏時代(2008年7月5日~2008年10月1日)
ニコニコ動画の7番目のバージョンはニコニコ動画夏です。
夏と書いてサマーと読みます。
アニメ・ゲーム
アニメでは、この時期に放映されたアニメ”マクロスF”の登場人物ランカ・リー(CV中島愛)が作中で歌う楽曲”星間飛行”(通称キラッ☆)が流行り、一時期ランキングにはその本編動画や関連動画等が多く上がっていました。(本編動画は著作権の問題などですでに削除されています。)
https://macross.jp/series-detail/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9f/
星間飛行はその曲自体の可愛らしさに加え、キラッ☆の時のポーズや振り付けなども人気となりました。
歌ってみた、演奏してみた
従来のアニメMADに加え、アニメソングなどの楽曲を歌ったり踊ったりする演奏したりする
“歌ってみた“
“踊ってみた“
“演奏してみた“
等の”やってみた”系の動画が流行りました。
ゲーム実況
実況プレイ動画ではコンビ実況者である塩と胡椒さん。
お笑い芸人”ロバート”の秋山竜次が、フジテレビでかつて放送されていた番組”はねるのトびら”にて披露していたコントキャラである”秋山森之進”の物まねで実況する実況者であるまおさんが動画を上げ始めたのもこの頃です。
”塩と胡椒”の塩さんとまおさんはプライベートでも仲が良く、後にコラボ実況をあげられています。
また、ゲーム実況者あにぃさんによる”一人で留守番偉いねと電話で褒められた受付がドラクエ8を実況”シリーズも投稿され、これまで男性メインであった実況プレイ業界に女性実況者も現れるようになりました。
電話で小学生の少女の声と間違えられたというあにぃさんですが、その可愛らしい声とは裏腹にとても辛辣な言葉や皮肉を効かせたブラックユーモアなどをよく使い、そのギャップがとても面白いと人気でした。
ニコニコ動画秋時代(2008年10月1日~2008年12月5日)
ニコニコ動画8番目のバージョンはニコニコ動画秋です。
アニメ・ゲーム
アニメ関係ではこの時期放送が開始したとある魔術の禁書目録のMAD
https://ktv-smart.jp/store/series.php?id=204200
同じくとらドラ!のMADなどが流行りました。
https://animestore.docomo.ne.jp/animestore/ci_pc?workId=10005
どちらも原作はライトノベルです。
2000年代半ばから2010年代半ばまでは中学・高校生の間ではライトノベルが流行っており、ライトノベル原作のアニメもよく登場しました。
幼少期のゲイツシリーズ
外国人の少年ふたりがカメラの前で踊っている動画にアニソンなどを合わせた動画で、その内の一人がmicrosoft創設者であるビル・ゲイツの幼少期に似ている事から幼少期のゲイツと呼ばれる幼少期のゲイツシリーズ
特に有名なこのMADで使われている音楽は1991年より放映された少女アニメ”おジャ魔女どれみ”のOPテーマ”おジャ魔女どれみカーニバル!!”です。
元がノリのいい曲に、この二人のノリノリなダンスが相まって素晴らしい出来となっています。
修造MAD
有名な元テニスプレイヤー松岡修造さんが熱いメッセージを放つ動画と、それをMADにした松岡修造MADが流行りました。
そのあまりに熱いメッセージにより、松岡修造さんは”炎の妖精”と呼ばれるようになり、ニコニコ動画で親しまれるようになりました。
また自分のMADが作られている事を、松岡修造さんは快く受け入れて下さった事もあり、ますますファンが増える事となりました。
ゆっくり実況プレイ
そしてゲーム実況において、前述のSofTalk(ゆっくり)にテキストを読み上げさせることによりゲームプレイ動画を実況するゆっくり実況プレイが初めて投稿され、これもまたニコニコ動画での一大ジャンルとなります。
ゆっくり実況は”実況動画を作りたいけど身バレが怖い”というクリエイター達にうってつけで、後のbiimシステムの登場などにより一大ジャンルへと成長します。
ニコニコ動画冬時代(2008年12月5日~2008年12月12日)
夏、秋と続いて冬なのですが、これは次のバージョンββまでのつなぎの期間で、わずか一週間しかありませんでした。
この間にも動画はアップされましたが、いかんせん一週間しかない為この期間にアップされた動画が流行るのは次のββからになります。
フォーラム
下記の掲示板リンクにニコニコ動画についての皆さんの思い出、おすすめ動画などを書いて教えていただければ幸いです。
基本的に書き込みは自由ですが、過激な内容や荒らしなど不適切な内容の投稿は削除させていただく場合があります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
part1ではニコニコ動画黎明期から初期までをご紹介しました。
ニコニコ動画はバージョンを重ねるごとに順調に会員数を増やしていきます。
そしてニコニコ動画は次のββ時代(2008年12月12日~2009年10月29日)から黄金時代とも呼べる時期を迎えます。
様々なアニメMADや踊ってみた、歌ってみた動画。
いまでもYouTubeなどで活躍する魅力的な動画実況者達が次々と登場し、国内ではYouTubeを凌ぐような影響力を持つ動画共有サイトへと成長します。
キリが良いので本記事(part1)ではここまで。
part2からはニコニコ動画ββを紹介していきたいと思いますので、そちらもぜひご覧ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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