中東諸国で主に使用され、なおかつ世界的な言語であるアラビア語において、日常的に使われる基礎フレーズがわかります。
السلا َم عل َيك ُم
皆さんこんにちは。
突然ですが、皆さんはアラビア語についてどれほどの知識を持っていますか?
恐らく、大半の方があまり知らないか、または全く知らないと思います。
日本人にはあまり馴染みが無い中東の言語ですが、世界でアラビア語を使う人口はおよそ4億4700万人いるとされます。
アラビア語は英語、中国語、スペイン語に続き、世界で4番目に話者数が多い言語なのです。
アラビア語が使用されている地域は中東から北アフリカまでととても広く、27か国で公用語とされている大変グローバルな言語なんです。
赤色の国がアラビア語が話されている地域
画像引用 http://www.c-able.ne.jp/~n-isobe/gengo/arabic/arabic1.html
世界から見れば、我々が使用している日本語の方がマイナーな言語な訳ですね。
更に、アラビア語は国連で使われる国連公用語の6つの言語の一つでもあります。
アラビア語を理解するには、アラビア語を記すための文字であるアラビア文字を理解できなければいけません。
右から左に読み、なおかつ文字同士がくっつくという特徴的な文字体系であるため、修得するにはかなりの時間を要するかもしれません。
これだけ広く使用されているアラビア語には、その地方その地方で独自の変化を遂げたアラビア語であるアーンミーア(口語)と、コーラン(クルアーン)由来のフスハー(文語)の二つがあります。
基本的に、実際に話されているのはアーンミーアの方で、書物やニュースの報道などではフスハーが使用されています。
基本的には、フスハーが読み書きできれば、異なるアーンミーヤ使用するアラビア語話者間でも何とか意思疎通ができるようです。
その為、日本人が初めてアラビア語を学ぶ際は、フスハーから学ぶのが効率的であると思われます。
この記事では、そんなアラビア語の基礎フレーズを皆様にご紹介します。
- こんにちは・・・ السَّلامُ عَلَيكُم(アッサラーム・アライクム)
- お元気ですか?・・・كيف حالك؟(カイファ・ハールカまたはカイファ・ハールキ)
- ありがとう・・・شُكْرًا (シュクラン)
- すみません(謝罪)・・・أنا اسف(アナー・アースィフまたはアナー・アースィファ)
- 私の名前は~です・・・ ~ اِسمِي (イスミー ~ )
- はい(肯定)・・・نعم (ナアム)
- いいえ(否定)・・・ لا (ラー)
- ~が欲しいです・・・ ~ أريد (ウリード~)
- ~が欲しいです・・・ ~ ممكن(ムムキン ~)
- さようなら・・・مع السلامة(マー アッサラーマ)
- アラビア語のおすすめの参考書
- まとめ
こんにちは・・・ السَّلامُ عَلَيكُم(アッサラーム・アライクム)

َالسلا َم عل َيك ُم (アッサラーム・アライクム)
アラビア語のあいさつの中で、最も有名な言葉のひとつではないでしょうか?
直訳すると、”あなたの上に平安が訪れますように”という意味になります。
なんとも素敵なあいさつですね。
この言葉に対する返事は、
وَعَلَيْكُمُ ٱلسَّلَامُ (ワ アライクム サラーム)
で、こちらの直訳は”あなた達にも平安がありますように”となります。
中東と聞くと物騒な紛争地域といった印象を受ける方も多いかと思いますが、本来中東の人々はお互いの平和を祈ったり旅人を厚くもてなしたりと、平和的で穏やかな人々です。
その人々の気質の一端が、こういった挨拶の語句にも反映されているという事ですね。
お元気ですか?・・・كيف حالك؟(カイファ・ハールカまたはカイファ・ハールキ)

كيف حالك؟ (カイファ・ハールカまたはカイファ・ハールキ)
アラビア語で”お元気ですか?”は”كيف حالك(カイファ・ハールカ(キ))”と言います。
相手が男性の場合は、”カイファ・ハールカ”。
相手が女性の場合は、”カイファ・ハールキ”
と言葉が変化します。
これに対する返答としては、日本語で言う”おかげさまで”にあたる、
الحمد لله(アルハムド リッラー)
と返すのが一般的です。
アラビア語の特徴として、このように話相手が男性であるか女性であるかで語句が微妙に変化します。
しかし、その変化も一定の規則性のもとでの変化なので、その規則さえ学べば覚えやすいと思います。
ありがとう・・・شُكْرًا (シュクラン)

شُكْرًا (シュクラン)
アラビア語において感謝の意を表す場合、”シュクラン”を使います。
より感謝を伝えたい場合は ”جزيلاً(ジャズィーラン)”をつけて、
”شكراً جزيلاً(シュクラン・ジャズィーラン)”
となります。
すみません(謝罪)・・・أنا اسف(アナー・アースィフまたはアナー・アースィファ)

أنا اسف (アナー・アースィフまたはアナー・アースィファ)
アラビア語で謝罪をする時は、”أنا اسف (アナー・アースィフまたはアナー・アースィファ)”を使います。
話し手が男性の場合は、”アナー・アースィフ”。
話し手が女性の場合は、”アナー・アースィファ”となります。
”أنا(アナー)”はアラビア語で”私”。
”اسف(アースィフまたはアースィファ)”は”残念に思う”という形容詞で、言葉の直訳の意味としては、”私は残念に思う”と言う意味になります。
”私は残念に思う”=”すみません”と言う意味になったんですね。
これは英語の”I’m sorry.”と同様の成り立ちです。
私の名前は~です・・・ ~ اِسمِي (イスミー ~ )

~ اِسمِي (イスミー ~)
名前を名乗る時は”اِسمِي(イスミー)+名前”です。
اِسمٌ(イスム 名前)+ي(イー 私の)”で、
”اِسمِي(イスミー 私の名前)”となります。
英語などとは異なり、be動詞などは必要としない為、その点では比較的簡単に文章を作ることが出来ます。
はい(肯定)・・・نعم (ナアム)

نعم (ナアム)
相手の言葉に対し、肯定する場合”نعم(ナアム)”を使います。
英語における”Yes”に該当します。
口語表現のくだけた言い方では、
”أَيوَه(アイワー)”
もよく使われます。
いいえ(否定)・・・ لا (ラー)

لا (ラー)
相手の言葉に対し、否定する場合は”لا(ラー)”を使います。
英語における”No”に該当します。
この”لا”とは、アラビア語のアルファベットである”ل(ラーム)”と”ا(アリフ)”が合わさった合成文字で、本来ならば”ا”+”ل”で”ラー”となります。
このように、繋がることによってアルファベットの形が大きく変わるのが、アラビア語の特筆すべき点です。
~が欲しいです・・・ ~ أريد (ウリード~)

~ أريد (ウリード~)
アラビア語で”~が欲しい”と言うときは、”~ أريد(ウリード)”と言います。
例えばお水が欲しい場合は”ماء(マー、水という意味)”を足して、
”أريد ماء(ウリード マー)”
コーヒーが欲しい場合は、”قهوة (カハワ、コーヒーという意味)”を足して、
”أريد قهوة(ウリード カハワ)”。
と言います。
また”أريد(ウリード)の後ろに أن(アン)”をつける事により
”~ أريد أن(ウリード・アン~)”
で”私は~がしたい”と言う意味になります。
英語における”I want”と同じと思って良いでしょう。
万能の語句であり、この語句を覚えていれば中東で生活する際の大きな助けとなります。
~が欲しいです・・・ ~ ممكن(ムムキン ~)

~ ممكن(ムムキン ~)
” ~ ممكن”とすることによって”~はできますか?”というような意味となります。
英語で言う”Can I ~?”や”Can you ~?”と同じような成り立ちですね。
この語句を使う事によって、”~ أريد(ウリード ~)”とは別表現の”~が欲しい”という表現となります。
例えば、”これが欲しい”と言いたい場合は、”これ”と言う意味の”هذا(ハーザー)”をつけ、
”ممكن هذا(ムムキン・ハーザー これが欲しいです)”
となります。
”أريد(ウリード)”同様、困ったときに仕える万能語句であり、中東諸国に行く際には覚えていて損はない語句と言えるでしょう。
さようなら・・・مع السلامة(マー アッサラーマ)

مع السلامة(マー・サラーマ)
アラビア語での別れのあいさつは”مع السلامة(マー・サラーマ)”です。
直訳すると”あなたに平和が訪れますように”ですが、慣用的に”さようなら”という意味になります。
َ”السلا َم عل َيك ُم(アッサラーム・アライクム)”もそうですが、アラビア語においては”سلام(サラーム 平和の意)”という単語がよく使われます。
中東では過激なイスラム教徒の話題がよくあがりますが、そのような人はごく一部の過激派に過ぎません。
本来のイスラム教は、平和を愛し重んじる宗教です。
出会いの挨拶である”السلا َم عل َيك ُم(アッサラーム・アライクム)”同様、本来の平和を好む思想の一端が、このように慣用句の中に現れているのかも知れませんね。
アラビア語のおすすめの参考書
ここからは、アラビア語を学ぶ際のおすすめの書籍をご紹介します。
参考書によって、レベルや学べる内容が異なりますので、ご自身の目的に合った参考書を選ぶ事をおすすめします。
アラビア文字練習プリント
『アラビア文字練習プリント』は、アラビア語をこれから学び始める人にとって非常に有用な教材です。ひとつひとつの文字の形を確認しながら、実際に手を動かして書き込むことで、目と手の両方を使って覚えることができます。
アラビア語特有の「語頭・語中・語尾・単独」など、書き方が位置によって変化する点も丁寧に示されており、初学者がつまずきやすい部分をしっかりフォローしてくれています。また、文字ごとの練習スペースも適度に確保されていて、繰り返し書くことで自然と筆順や形の変化に慣れていけます。
装飾やデザインはシンプルですが、その分、集中して練習に取り組むことができ、実用的です。音の読み方については簡単な説明にとどまっていることが多いため、発音をしっかり学びたい場合は音声教材と併用するのが理想です。
全体として、独学者や授業の補助教材として非常に優れており、「アラビア語を読めるようになりたい」という第一歩を踏み出すには、うってつけのプリントと言えるでしょう。
カラー版 CD付 アラビア語が面白いほど身につく本 (語学・入門の入門シリ-ズ)
『カラー版 CD付 アラビア語が面白いほど身につく本(語学・入門の入門シリーズ)』は、アラビア語を全く知らない初心者に向けて構成された、親しみやすく工夫された一冊です。
語学に対する心理的ハードルを下げるために、明るく見やすいカラー構成が採用されており、視覚的に学びやすいレイアウトになっています。
この本の大きな特徴は、付属の音声CDによって文字や表現の正しい発音を耳から学べる点にあります。
独学でありがちな「読めても話せない・聞き取れない」といった壁に対して、音声での補強ができるのは非常に心強い要素です。
またあいさつや自己紹介、日常表現など、すぐに使える実用的なフレーズが多く取り上げられており、学習モチベーションを保ちやすくなっています。
文法の説明は簡潔ながらも要点が押さえられていて、初心者が混乱しがちな構造も平易な表現で解説されています。
ただし、体系的に深く学びたい人にとってはやや物足りなさを感じる部分もあるため、あくまで入門段階での導入書として位置づけるのが適切です。
全体的に気軽にアラビア語の世界に触れてみたいという人や、学習の最初の一冊として選ぶには非常に適しており、「難しそう」「自分には無理かも」と思っていた人にとって、最初の扉を開いてくれる優しいガイドブックと言えるでしょう。
例文で学ぶ アラビア語単語集
『例文で学ぶ アラビア語単語集』は語彙を例文とともに覚えたい人にとってとても役立つ一冊です。
単語が単なる一覧で並んでいるだけでなく、実際の会話や文脈で使われる例文とセットになっているので、意味だけでなく使い方やニュアンスまで理解しやすくなっています。
各例文にはアラビア文字とカタカナ&日本語訳が併記されており、文字の読み方や意味を自然に結びつけて覚えられる構成です。
収録されている単語数は約300語前後で、日常会話で頻出する語彙を中心に選定されているため、アラビア語を学ぶ初期段階の語彙力強化に最適です。
例文もシンプルかつ実用的ですぐに日常のフレーズとして使えるものが多く、学ぶ意欲を持続しやすくなっています。
本書では文法的な説明や派生語などの補足は最小限にとどめられているため、文法的な理解を深めたい学習者には後補的に文法書を併用するのが望ましいでしょう。
語彙を増やしながらフレーズとして自然に身につけていきたい初心者にとっては、コンパクトながら効果的な学習ツールです。
全体として「例文を通して語彙を身につけたい」というニーズにぴったり合った構成であり、アラビア語学習の基礎をしっかり固めたい人におすすめできます。
ニューエクスプレスプラス アラビア語《CD付》
『ニューエクスプレスプラス アラビア語《CD付》』(竹田敏之著)は、アラビア語初心者から初級学習者にとって、会話・文法・発音をバランスよく学べる入門書として評価できます。
まず文字と発音の導入が丁寧で、アラビア文字を初めて見る学習者でも基礎から理解しやすく構成されています。
全20課のカリキュラムは、見開きページで「会話・和訳・単語」と「文法説明」を効率よく配置しており、短い時間でも読み進めやすい構成です。
付属のCDでは会話スキットや練習問題の一部が日本語なしで収録されており、聴きながら手元のテキストを確認するスタイルです。
音声はゆっくりかつはっきりしており、初心者には聞き取りやすい一方で実用的なナチュラルスピードのリスニング素材としては物足りない点もあります。
文法力や表現力を深めるために「単語力アップ」「表現力アップ」「文法チェック」「読んでみよう」のコーナーが用意されており、スピーチやメッセージカードなど日常的な表現にも触れられるのが特徴です。
一方で、初めてアラビア語に触れる人にはやや難易度があると感じられる場合もあります。
単語・文法・アクセントなど、一部の学習者には挫折しやすい部分もあるようです。
また、ナレーターの発音はエジプト出身者によるもので、フスハー(標準アラビア語)文法に忠実ながらもアクセントの位置が少し異なるため、微妙な発音の違和感を感じる方もいるかもしれません 。
CDとアプリ利用が可能で、語学学習の導入に最適な入門書ですが、まったく初めて触れる方は文字習得など、部分的に負担を感じることもあります。
またすでに無印「ニューエクスプレス アラビア語」を学んだ人には大きな変化はなく、すぐに買い替える必要性は薄いとも言われています。
『ニューエクスプレスプラス アラビア語《CD付》』は学習者の目的に応じてはじめの一冊として、あるいは文法修正や文章読解の補助教材として活用できる、優れた入門書です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
日本からは、地理的にも文化的にも遠く離れたアラブ諸国。
その魅力の一端をアラビア語を学ぶ事で触れる事が出来たのならば、それは素晴らしい事ではないでしょうか?
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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