世界のホラー映画の内、興行収入ランキングトップ10がわかります。
みなさんこんにちは、syuyaです。
世界に存在する映画の中で、いつでも一定の人気を誇る映画のジャンルである”ホラー映画”。
特に夏のシーズンに人気がありますよね。
世界初のホラー映画とされているのは、1895年にアルフレッド・クラーク監督によって撮影された15秒ほどのショートムービー『メアリー女王の処刑』であるとされています。
*ショッキングな内容が含まれています。また、動画に年齢制限がかけられている為、YouTubeにてご覧ください。
内容はタイトルの通り、16世紀のスコットランド女王であるメアリー女王の処刑シーンを描いた作品です。
映像の途中でカットを挟み、俳優を人形に変えて首を切断するという”ストップ・トリック”という技法が取り入れられており、CGなどが無い当時においても、工夫によって恐怖演出を施した作品となっています。
さて、この記事ではそんなホラー映画の中で、世界の興行収入トップ10の作品をご紹介します。
*公開日は北米のデータです
*筆者が定義する”ホラー映画”のランキングであり、スリラー映画やコメディ映画と判断した作品は選んでおりませんので、ご了承ください。
1位:IT/イット “それ”が見えたら、終わり。・・・約7億170万ドル
タイトル | IT/イット “それ”が見えたら、終わり。 |
公開日 | 2017年9月8日 |
興行収入 | 約7億170万ドル |
監督 | アンディ・ムスキエティ |
出演 | ジェイデン・リーバハー ビル・スカルスガルド ジェレミー・レイ・テイラー ソフィア・リリス フィン・ウォルフハード |
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』は、2017年に公開されたアメリカのホラー映画です。
原作はスティーヴン・キングによる同名小説『IT』で、1990年にもテレビ映画として映像化されていますが、本作はその再映画化となります。
監督はアンディ・ムスキエティ。主演には若手俳優を中心に、フレッシュかつ繊細なキャストが揃っています。
物語の舞台は、1980年代のアメリカ・メイン州の架空の町「デリー」。
その町では、子どもたちが次々と失踪するという不可解な事件が続いており、やがて主人公たちの前に「それ」と呼ばれる存在が現れます。
「それ」は、人々の恐怖心を巧みに利用し、最も恐れているものの姿で現れるという、極めて異質で不気味な存在です。
本作の最大の特徴は、“恐怖”の描き方です。
単に驚かせるだけではなく、子どもたちの内面に潜むトラウマや不安、社会からの孤立といった心理的な痛みを軸にして、恐怖体験が丁寧に構築されています。
恐怖演出にはCGと実写を組み合わせたダイナミックな映像技術が用いられ、視覚的にも強烈な印象を残します。
主人公たちはいずれも思春期にさしかかる少年少女たちで、各々が家庭や学校、社会との摩擦に苦しんでいます。
そうした子どもたちが「ルーザーズ・クラブ(負け犬クラブ)」と名乗り、力を合わせて「それ」と向き合っていく過程は、青春映画としての側面も持っています。
友情、成長、勇気というテーマがしっかりと描かれており、単なるホラーにとどまらない奥行きを感じさせます。
『IT/イット』は、公開と同時に世界的なヒットを記録し、全世界で7億ドルを超える興行収入を達成。
ホラー映画としては異例の成功を収め、続編『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』へとつながっていきます。
批評家・観客の双方から高く評価され、スティーヴン・キング作品の映像化としても屈指の完成度を誇る一本となっています。
本作は、恐怖と感動、青春の痛みと再生を描いた、スケール感あふれるホラーエンターテインメント。
ただ怖いだけではなく、人の成長や心のつながりを丁寧に描いた、非常に完成度の高い作品となっています。
2位:シックス・センス・・・6億7280万ドル
タイトル | シックス・センス |
公開日 | 1999年8月6日 |
興行収入 | 6億7280万ドル |
監督 | M・ナイト・シャマラン |
出演 | ブルース・ウィリス ハーレイ・ジョエル・オスメント オリヴィア・ウィリアムズ トニ・コレット ドニー・ウォルバーグ |
『シックス・センス』は、1999年に公開されたアメリカ映画で、ジャンルとしては心理サスペンスに分類されます。
監督・脚本を手がけたのはM・ナイト・シャマラン。
本作によって一躍その名を世界に知らしめ、彼のキャリアの転機となる作品でもあります。
物語の中心となるのは、児童心理学者マルコム・クロウと、彼のもとに現れた内向的な少年コール・シアー。
コールは、周囲の人々が気づかないような現象を見聞きしており、それによって日常生活に大きな支障をきたしています。
クロウは、かつて自身がうまく支援できなかった少年との記憶を引きずっており、今度こそ誰かを救いたいという思いから、コールと真剣に向き合うことを決意します。
作品全体を通じて、重厚で静謐なトーンが保たれており、派手な演出ではなく、心理的な不安や緊張感がじわじわと観客の心を包み込むように作られています。
夜の静けさや、何気ない日常の中に潜む違和感、不安、孤独といった感情が、画面全体からにじみ出るような構成が特徴です。
演技面においても極めて高い評価を受けており、特に少年役のハーレイ・ジョエル・オスメントは、当時まだ11歳でありながら驚異的な表現力で観客と批評家の心をつかみました。
その繊細な演技は、恐怖や苦悩、純粋さといった感情を見事に体現しており、彼の演技が本作の感動的な側面をより際立たせています。
本作は、ホラー的な要素を含んでいながら、単なる“恐怖映画”にとどまりません。
人間の心の傷、罪悪感、赦し、理解、そして再生といった、深く普遍的なテーマを静かに描いています。
観終わったあとには、怖さだけでなく、どこか温かく、胸に残る余韻が残る、そんな稀有な映画です。
興行的にも批評的にも大成功を収め、全世界で約7億ドルという驚異的な興行収入を記録。
アカデミー賞では、作品賞・監督賞・脚本賞・主演男優賞(ブルース・ウィリスではなく、オスメント)など、主要6部門にノミネートされました。
『シックス・センス』は、サスペンス映画の枠を超え、人の心を深く揺さぶる力を持った、まさに傑作と呼ぶにふさわしい一作です。
3位:エクソシスト・・・約4億4130万ドル
タイトル | エクソシスト |
公開日 | 1973年12月26日 |
興行収入 | 約4億4130万ドル |
監督 | ウィリアム・フリードキン |
出演 | エレン・バースティン リンダ・ブレア ジャイソン・ミラー マックス・フォン・シドー リー・J・コッブ |
『エクソシスト』は、1973年に公開されたアメリカのホラー映画で、ジャンルとしてはオカルトホラーの金字塔と称される作品です。
監督はウィリアム・フリードキン、脚本は原作小説の著者であるウィリアム・ピーター・ブラッティが自ら執筆しました。
物語の中心にあるのは、ワシントンD.C.に暮らす少女と、彼女の身に起こる不可解な現象。
医学的にも科学的にも説明のつかない異変に対して、やがて母親は“悪魔憑き”の可能性を疑い、教会に助けを求めます。
その依頼を受けて、神父たちが“悪魔祓い(エクソシズム)”に挑むこととなります。
本作の最大の特徴は、「恐怖のリアリティ」にあります。
特撮や視覚効果に頼りすぎず、カメラの運びや音の演出、俳優たちの圧倒的な演技力によって、異常な状況があくまでも“現実に起きていること”として描かれます。
静けさと緊張感が長く続く中で、突如訪れる衝撃的なシーンの数々が、観る者の精神を深く揺さぶります。
主演のエレン・バースティン、リンダ・ブレア、ジェイソン・ミラーらによる演技も高く評価され、とくに少女役のリンダ・ブレアは、当時わずか14歳ながら、その役柄を極めて説得力ある形で演じ切りました。
公開当時は、その過激な描写と宗教的な題材により、世界中で大きな論争を巻き起こしました。
一方で、批評家からの評価は極めて高く、アカデミー賞では作品賞・監督賞など10部門にノミネートされ、脚色賞と音響賞の2部門で受賞を果たしました。
興行的にも爆発的な成功を収め、全世界で4億ドルを超える興行収入を記録。
当時としては異例の数字であり、「ホラー映画は興収が見込めない」という業界の常識を覆した作品として知られています。
その後も多くの続編やリブート、影響を受けた作品が登場し、現在でもオカルトホラーの原点として語り継がれています。
『エクソシスト』は、ただの恐怖映画ではありません。
信仰と理性、科学と神秘、人間の善悪、母と子の愛といった、深く普遍的なテーマを内包した作品です。
“本当に怖いとはどういうことか”を知りたい方にとって、避けて通れない一本です。
4位:サイン・・・約4億0825万ドル
タイトル | サイン |
公開日 | 2002年8月2日 |
興行収入 | 約4億0825万ドル |
監督 | M・ナイト・シャマラン |
出演 | メル・ギブソン ホアキン・フェニックス ローリー・カルキン アビゲイル・ブレスリン チェリー・ジョーンズ |
『サイン』は、2002年に公開されたアメリカの心理スリラー映画です。
監督・脚本はM・ナイト・シャマラン。
彼は『シックス・センス』や『アンブレイカブル』で注目を集めた映像作家であり、本作でもその独自の“静けさの中に潜む不安”という演出スタイルが際立っています。
物語の舞台は、アメリカ東部の田園地帯にある農場。
主人公は、元司祭であり現在は農業を営むグレアム・ヘス(メル・ギブソン)。
彼は、ある出来事をきっかけに信仰を捨て、弟のメリル(ホアキン・フェニックス)、息子モーガン(ローリー・カルキン)、娘ボー(アビゲイル・ブレスリン)と共に静かに暮らしていました。
ある日、その家のトウモロコシ畑に、巨大な円形模様、いわゆる「クロップサークル」が突如として現れます。
最初はイタズラかと思われていたその現象は、やがて世界各地で同様のサインが見つかることで、地球外生命体の存在を示唆するものではないかという不安を呼び起こします。
家族は次第に不安と恐怖に包まれ、テレビやラジオから流れる情報を通して、全世界が緊張感に飲み込まれていくさまが描かれていきます。
『サイン』の恐怖演出は極めて静かで抑制的です。
派手なCGや爆発的な展開はほとんどなく、むしろ“見えないもの”や“音だけで感じる存在”によって、観客の想像力を刺激し、不安をじわじわと膨らませていきます。
画面の端や反射に映る何気ない“異物”、室内の静けさ、そして登場人物の微細な表情や呼吸が、恐怖と緊張感を支えています。
しかし『サイン』が優れているのは、単なるエイリアンの出現を描くSF的な恐怖だけではなく、信仰、喪失、家族、そして「偶然に見える出来事に意味を見出すことができるか」という深いテーマが物語の核にある点です。
信仰を失った主人公が、再び“信じる”という行為と向き合っていく過程は、宗教的な枠を超え、人間の心の再生として描かれます。
演技面では、メル・ギブソンが苦悩と葛藤を抱える父親を繊細に演じ、ホアキン・フェニックスはコミカルさと緊張感を併せ持つ弟役として印象的な存在感を発揮。
子役2人の自然でリアルな演技も、家族としてのリアリティを高め、観客により強く感情移入させています。
公開当時、『サイン』は全世界で4億ドル以上の興行収入を記録し、シャマラン監督作品としては『シックス・センス』に次ぐ成功を収めました。
また、観る人の価値観や信仰心、人生観によって受け取り方が変わるという構造から、今なお議論や再評価の対象となっている作品でもあります。
5位:ハンニバル・・・約3億5160万ドル
タイトル | ハンニバル |
公開日 | 2001年2月9日 |
興行収入 | 約3億5160万ドル |
監督 | リドリー・スコット |
出演 | アンソニー・ホプキンス ジュリアン・ムーア ゲイリー・オールドマン レイ・リオッタ フランキー・フェイソン |
『ハンニバル』は、2001年に公開されたアメリカのサイコスリラー映画で、前作『羊たちの沈黙』(1991年)の“続編”にあたる作品です。
原作は、サスペンス文学の巨匠トマス・ハリスの同名小説。
監督には『ブレードランナー』『グラディエーター』などで知られるリドリー・スコットが起用され、独特の映像美と重厚な演出によって、物語に一層の深みが加えられています。
本作は、前作の事件から約10年後の世界を描いており、精神科医であり猟奇殺人犯でもあるハンニバル・レクター博士が、ヨーロッパに潜伏しているところから物語が始まります。
一方、FBI捜査官クラリス・スターリングは、ある任務中の行動が物議を呼び、世間から批判を浴びていました。
そんな中、彼女の前に現れるのが、レクターのかつての被害者であり、生き延びたものの深い傷を負った大富豪、メイソン・ヴェルガー。
彼は、自身を破滅させたレクターへの復讐の機会を伺い続けており、やがてクラリスを巻き込む形で、恐るべき罠を張り巡らせていきます。
本作の特徴は、前作とはまた異なるアプローチで描かれる“恐怖”です。
『羊たちの沈黙』が密室的な緊張と対話の心理戦に重点を置いていたのに対し、『ハンニバル』は、より視覚的かつ詩的な狂気、残酷さ、そして美学を強調しています。
ときに静謐、ときに暴力的に展開するシーンは、観客の倫理観や感情に鋭く訴えかけるものであり、グロテスクな要素とともに、美と知性をはらんだサイコスリラーとして高い完成度を誇ります。
アンソニー・ホプキンスは、再びハンニバル・レクター役を演じ、その冷徹かつ魅力的な存在感は一層研ぎ澄まされています。
クラリス役は、前作のジョディ・フォスターに代わり、ジュリアン・ムーアが新たに演じましたが、知的かつ強い信念を持った女性像を丁寧に表現し、まったく別の解釈によるクラリスを見せています。
さらに、ゲイリー・オールドマンが特殊メイクで挑んだメイソン・ヴェルガー役は、狂気と執念を併せ持つ異様な存在として強烈な印象を残します。
公開当時、『ハンニバル』はその内容の過激さや倫理観を巡って賛否が分かれましたが、興行的には大成功を収め、全世界で3億5,000万ドルを超える収益を記録しました。
本作のヒットは、レクター博士というキャラクターが、単なる“ホラー映画の怪物”にとどまらず、人間の内面に潜む知性と狂気の象徴として、時代を超えて語られる存在であることを証明したと言えるでしょう。
6位:セブン・・・約3億2730万ドル
タイトル | セブン |
公開日 | 1995年9月22日 |
興行収入 | 約3億2730万ドル |
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
出演 | モーガン・フリーマン ブラッド・ピット グウィネス・パルトロー ケヴィン・スペイシー |
『セブン』は、1995年に公開されたアメリカのサイコロジカル・スリラー映画で、犯罪映画の中でもとりわけ陰鬱で重厚な空気を持つ作品として世界的に高く評価されています。
監督は、緻密な映像演出と心理描写で知られるデヴィッド・フィンチャー。
脚本はアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーによって書かれ、人間の罪と闇、そして“悪”の本質に迫る物語が展開されます。
舞台となるのは、どこか特定されない灰色の都市。
鬱陶しいほどの雨と薄暗い街並みが物語全体を覆い、視覚的にも「逃れられない絶望」を感じさせる舞台装置となっています。
主人公は、定年間近で知的かつ冷静なベテラン刑事ウィリアム・ソマセット(モーガン・フリーマン)と、情熱的で短気な新人刑事デヴィッド・ミルズ(ブラッド・ピット)。
彼らはコンビを組み、ある猟奇的な殺人事件を追うことになります。
やがて事件は単なる殺人ではなく、「七つの大罪(Se7en deadly sins)」――暴食、強欲、怠惰、憤怒、傲慢、色欲、嫉妬――になぞらえた連続殺人であることが明らかになります。
殺人犯は、自らの犯行を“説教”や“罰”と位置づけ、人間の罪を可視化しようとしているかのように、計画的かつ異常な方法で次々と犠牲者を生み出していきます。
ソマセットとミルズは、それぞれの価値観や経験、性格の違いにより、時にぶつかり合いながらも真相に近づいていきます。
本作の恐怖は、単に残虐な描写から生まれるのではなく、犯人の理知的かつ不気味な思考や、正義と悪の曖昧な境界線、そして“人は何をもって罪とするか”という問いかけによって、観る者の内面を深く揺さぶります。
とくに印象的なのは、作品全体を貫く「決して明るくならない世界観」です。
希望や救済の兆しがほとんどないまま進行する物語、音を抑えた冷たい音楽、低彩度の色調、そして徐々に狂気に近づいていく緊張感が、観客の感情にじわじわと食い込んでいきます。
後半では、ケヴィン・スペイシー演じる犯人ジョン・ドゥが登場し、物語はさらに強烈な心理戦へと突入します。
彼の静かな狂気と圧倒的な存在感は、名優たちの演技の中でも特筆されるべきものであり、本作の象徴的な瞬間の多くを形作っています。
ラストに至るまでの展開は、当時の映画としては極めて衝撃的であり、観客に重い感情を残す構成となっています。
それにもかかわらず、この映画はエンターテインメントとしての完成度が高く、リピーターを多く生む作品として映画史にその名を刻みました。
『セブン』は、公開当時から現在に至るまで、スリラー映画の金字塔として多くの映画ファン・批評家から高い評価を受け続けています。
また、その影響は後年の作品――『ソウ』シリーズや『ゾディアック』、あるいは北欧ミステリにまで及び、映画における“犯罪心理”というテーマの描き方に一石を投じた作品でもあります。
7位:死霊館 エンフィールド事件・・・約3億2020万ドル
タイトル | 死霊館 エンフィールド事件 |
公開日 | 2016年6月10日 |
興行収入 | 約3億2020万ドル |
監督 | ジェームズ・ワン |
出演 | ヴェラ・ファーミガ パトリック・ウィルソン マディソン・ウルフ フランシス・オコナー サイモン・マクバーニー |
『死霊館 エンフィールド事件』は、2016年公開の超常現象ホラー映画で、実在の心霊調査夫婦エド&ロレイン・ウォーレン夫妻による活躍を描いた『死霊館』シリーズの第2作目にあたります。
本作は英国・ロンドン北部エンフィールドを舞台とし、1977年に実際に報告されたポルターガイスト現象をモデルにしています。
舞台は4人の子どもを育てるシングルマザー、ペギー・ホジソン(フランシス・オコナー)とその家族のいる住宅。
その家中では、物が飛び、音が鳴り、そして子どもたちが“なにか”に取り憑かれたようになるというような奇妙な現象が頻発します。
エド(パトリック・ウィルソン)とロレイン(ヴェラ・ファーミガ)は状況を調査するため英国へ渡り、現象を科学的・宗教的に解析しながら、家族の心の支えとなろうとするのでした。
物語はこのようになっています。
本作の魅力は、恐怖のリアリティと緊張感の保ち方にあります。
ジェームズ・ワン監督ならではの「静寂→不穏→衝撃」という流れが絶妙で、幽霊の姿を多用するよりも“気配”や“気づかれない細部の異変”で恐怖を煽ります。
音響演出や暗がりの使い方も巧妙で、観客に想像させる余白を与えながらも、映像美と共に引き込む力が非常に強い構成です。
また、ロンドンの古びた住宅とその生活空間は、どこかリアルで「誰かの家」が突然異常な場所へと変わる様が巧みに描かれています。
カメラが捉える子どもたちの表情や家族の緊張感、そして母ペギーや夫妻の人間味ある悩みと信念が、単なる怪奇体験以上の“物語”として成立しています。
演技面では、ヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソンが息の合った夫婦役を演じ、マディソン・ウルフら子どもたちの演技が信念を支えています。
「可視化できない存在」と向き合いながらもあきらめない姿が、鑑賞者の感情を揺さぶります。
興行的にも成功を収め、全世界で約3億ドル超のヒットを記録。
専門家や観客からの高い評価と商業的成果を両立する事に成功しました 。
8位:死霊館・・・約3億1800万ドル
タイトル | 死霊館 |
公開日 | 2013年7月19日 |
興行収入 | 約3億1800万ドル |
監督 | ジェームズ・ワン |
出演 | ヴェラ・ファーミガ パトリック・ウィルソン リリ・テイラー ロン・リビングストン |
『死霊館』は超常現象研究者の夫妻、エド&ロレイン・ウォーレンを描いた、実話をモチーフにしたホラー作品です。
監督は『ソウ』『インシディアス』で名を馳せたジェームズ・ワン。
彼が手がけた本作は2013年の公開時に多くの映画ファンを震撼させ、ホラー映画の演出表現に新たな地平を切り拓きました。
物語は1971年、アメリカ・ロードアイランド州の田舎の一軒家から始まります。
ペロン一家が購入した家では、不気味な物音、扉の開閉、オルゴールの再生といった不可解な現象が次々と起こり、家族は次第に狂気と恐怖に囚われていきます。
最終的に、彼らは案件を封印してきたウォーレン夫妻に助けを求め、超常現象と科学+宗教の交差点に挑むこととなります。
本作の魅力は、静寂から徐々に忍び寄る恐怖の構築にあります。
暗闇や音の演出、効果的な間合いによって「見えない恐怖」が観客の想像力を刺激します。CGや過剰なショックに頼らず、空間と時間を巧みに操作しながら、登場人物の微かな表情や呼吸、カメラワークが恐怖を生む演出が秀逸です。
またペロン一家の家族描写には温かみとリアリティがあり、観客は単なる幽霊譚を超えて、“家族を守りたい”という人間ドラマに共感を覚えます。
ウォーレン夫妻も単なる調査者ではなく、信念と愛を持って事件に立ち向かう姿で描かれ、ホラー映画でありながら感情移入の幅が広く取られています。
キャスト陣――ヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソンは、夫婦としての信頼感と緊張感を併せ持つ演技を見せ、リリ・テイラーらペロン一家も頼もしく自然な“ありのままの家族”を演出しています。
ホラー映画でありながら、役者たちの演技に人間性が宿っている点も大きな評価点です。
興行的にも圧倒的な成功を収め、製作費の約15倍という驚異的な利益率を達成。
全世界での興行収入は約3億1800万ドルにのぼり、北米R指定ホラーでは歴代有数の記録となりました。
本作は、“新しいホラーの基準”とされ、その後のホラー映画制作に多大な影響を与えました。
さらに、強い信仰心や家族愛、科学と宗教の葛藤など、ジャンルを超えたテーマ性を内包しており、ホラーだけでは語り尽くせない深みがあります。
9位:バイオハザードIV アフターライフ・・・約3億22万ドル
タイトル | バイオハザードIV アフターライフ |
公開日 | 2010年9月10日 |
興行収入 | 約3億22万ドル |
監督 | ポール・W・S・アンダーソン |
出演 | ミラ・ジョヴォヴィッチ アリ・ラーター キム・コーツ ショーン・ロバーツ スペンサー・ロック |
『バイオハザードIV アフターライフ』は、2010年公開のアクションホラー作品で、ポール・W・S・アンダーソンが監督・脚本を務めた、シリーズ4作目にあたる作品です。
物語は、Tウイルスにより滅亡した地球を舞台に、ウイルス生存者たちと戦いながら逆襲するアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が中心です。
ロサンゼルスの安全地帯と思われたイマジナリ―「アーケディア」を探す旅の中で、ゲームで人気のキャラクターが初登場します。
ウェスカーとの初対峙や、クレア・レッドフィールド(アリ・ラーター)との再会が大きな見どころです。
本作はシリーズ初の3D撮影で制作され、トムアンドアンディによる音楽とともに、ゾンビアクションの臨場感を高めています。
3Dの使用によって、銃撃戦やアクションシーンに深度と迫力が加わりました。
演出面では、シリーズにお馴染みの破壊的なゴア演出とアリスの肉体美が融合し、「ビジュアル重視」のアクションが展開されます。
一方でポール監督の狙いは「3Dならではの臨場感と、ゲームキャラとのリンク強化」にあり、映像体験を重要視した構成が採られています。
アリスとウェスカーの直接対決はシリーズ史上でも最大スケールであり、ゲームファンにとっては待望の展開。
クレアとの共闘や、ゾンビとの戦いを通じて“希望の火”を象徴する物語として描かれています。また、IMAX上映も実施され、シリーズに新たな演出次元を加えました。
公開当時、批評家の評価はやや厳しかったものの、世界全体で3億ドルを超える興行収入を記録し、シリーズ屈指のヒット作となりました。
特に中国での公開が成功し、アンダーソン監督作品の中でも最大の収益となりました。
10位:シャッターアイランド・・・約2億9480万ドル
タイトル | シャッターアイランド |
公開日 | 2010年2月19日 |
興行収入 | 約2億9480万ドル |
監督 | マーティン・スコセッシ |
出演 | レオナルド・ディカプリオ マーク・ラファロ ベン・キングズレー ミシェル・ウィリアムズ マックス・フォン・シドー |
『シャッター アイランド』は、2010年に公開されたアメリカ映画で、ジャンルとしてはニュー・ノワール心理スリラーに位置づけられます。
マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオ主演による初タッグとして注目を集めました 。
物語の舞台は、1954年、ボストン近郊に浮かぶ孤島「シャッター島」にある重犯罪精神病院。
米国保安官補テディ・ダニエルズ(ディカプリオ)と相棒チャック・オール(ラファロ)は、行方不明となった患者の捜索と施設の調査のため島を訪れます。
だが施設スタッフは協力的でなく、病院そのものが謎めいた空気に包まれていることに気づきます。
事件の捜査を進めるうちに、テディは自分の過去、戦争体験、そして最愛の妻ドロレス(ウィリアムズ)の死にまつわる記憶と向き合うことになります。
精神的に追い詰められる中で、患者からの警告や“島に隠された恐ろしい秘密”が明るみに出始め、観客は次第に彼の内面世界にも入り込んでいきます。
映像面では、低彩度の色調、重厚な構図、大型セットの陰影を活かした陰鬱な美術が印象的です。
スコセッシと撮影監督ロバート・リチャードソンによるカメラワークは、隔絶された島の閉塞感と、主人公の孤独感・狂気を巧みに映し出します。
また、音楽もクラシカルかつ不安定な音響で構成され、緊迫感や異様な雰囲気が日常と裏側を揺らがせるように設計されています 。
演出面では、悲しみや自己欺瞞を抱えるテディの微妙な表情表現が要となり、ディカプリオは“精神の葛藤”と“真実への渇望”を複雑に演じ分けています。
その心理描写は、従来のサスペンス/ホラー映画とは一線を画しており、観る者の思考を揺さぶります。
公開後はネガティブな批評も一部ありましたが、批評家評価は概ね好意的で、全米ボックスオフィスでは初週末に4100万ドルを超える興行成績を記録 。
最終的には全世界で約2.9億ドルを稼ぎ出し、スコセッシ作品としては『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を上回る商業的成功を収めました 。
まとめ
いかがだったでしょうか。
気になった作品はありましたか?
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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